マレガ・プロジェクト国際シンポジウム「マレガ収集日本資料の発見と豊後キリシタン研究の新成果」が、2019年10月26日(土)に開催されました。大分県教育委員会と共同開催で、会場の大分県豊の国情報ライブラリー2階視聴覚ホールには、関係者、市民ら約250人が集まりました。
写真1:プロジェクト代表者の国文学研究資料館・大友一雄教授からの「趣旨説明」
シンポジウムは大きく二部構成とされ、第1部では、バチカン図書館から、チェーザレ・パシーニ館長とアンヘラ・ヌーニェス=ガイタン資料修復室長を迎え、国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長とともに、マリオ・マレガ神父収集の日本関係資料と国際交流について意見が交わされました。パシーニ館長からは、「今回の資料発見が江戸時代の豊後と日本の実態についてより正確な知識を得るのに役立つと期待している。新しい文化交流の架け橋として未来の平和につなげていければ」というお話があり、本プロジェクトを核とした国際交流の可能性についての期待が寄せられました。
また、第2部では、大分県立豊後高田高等学校の佐藤晃洋教諭による「禁教初期における臼杵藩のキリシタン対策」、国文学研究資料館の三野行徳研究員による「臼杵藩宗門奉行と類族制度」という、同神父収集のキリシタン関係文書の魅力と新発見について最新の研究にもとづく報告がありました。これらの報告の後、3人の論者によるコメント、6人の登壇者全員による総括討論が行われました。
写真2:当日の会場の様子
討論の締めくくりとして、討論者から、「間もなく1万4000点余りの史料がインターネットで公開される。膨大な量の資料が揃うことによって、統計的な分析を通じた全体像的なものが見えてくるはず」と、研究進展に関する大きな期待が語られました。また、プロジェクト代表者の国文学研究資料館・大友一雄教授からは、「マレガ文書には、江戸時代の同時代史料だけでなく、マレガ神父の書いた貴重なイタリア語資料もあり、両方が揃ったところに同文書の価値がある。今後それら二つの資料群に立脚した研究が必要であり、それは国際的な共同プロジェクトとして遂行されるのが必然である」というプロジェクトの今後の課題について展望が示されました。
写真3:白熱する討論の様子
なお、シンポジウム当日のプログラムは次の通り。
プログラム
13:00 挨 拶 広瀬勝貞(大分県知事)
13:10 開催趣旨 大友一雄(人間文化研究機構国文学研究資料館)
<第1部> マリオ・マレガ収集日本資料と国際交流
13:20 チェーザレ パシーニ(バチカン図書館長)
「バチカン図書館所蔵のマレガ資料:過去から未来へ人々の間に架け橋を築く」
13:40 アンヘラ・ヌーニェス=ガイタン(バチカン図書館資料修復部門長)
「バチカン図書館におけるマレガ・プロジェクト-相互理解と協業の体験」
14:00 ロバート キャンベル(人間文化研究機構国文学研究資料館長)
「マリオ・マレガ神父と日本資料コレクション」
司会進行:シルヴィオ・ヴィータ(京都外国語大学)
<第2部> マレガ収集キリシタン関係文書の魅力と新発見
15:00 佐藤晃洋(大分県立豊後高田高等学校)
「禁教初期における臼杵藩のキリシタン対策」
15:25 三野行徳(人間文化研究機構国文学研究資料館)
「臼杵藩宗門奉行と類族制度」
15:50~16:45 コメントとディスカッション
司会進行:大橋幸泰(早稲田大学)
コメンテーター:
平井義人(日出町歴史資料)
大津祐司(大分県先哲史料館)
大友一雄(人間文化研究機構国文学研究資料館)
全体進行:松井洋子(東京大学史料編纂所)