Monthly Archives: 11月 2018

2018.10.27 稲賀繁美特別講演「いまなぜ海賊史観か―グローバル時代の日本研究を考える:商品流通と芸術概念を手がかりに」

2018(平成30)年10月27日(土)、第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会2日目(京都リサーチパーク)において、稲賀繁美先生(在外プロジェクト研究成果活用班代表)の特別講演が行われました。

「海賊史観」を提唱する講師が、今日の世界状況を分析。商取引から金融さらにはサイバー空間での情報の授受に至るまで「海賊行為」が横行し、従来の法律体系では制御不可能になっている点を指摘。国民国家体制の理念を裏切るさまざまな現実を前に、ここ600年にわたる世界史を振り返りつつ、私たちの生きる世界・東アジア・日本の成り立ちを、「海賊行為」という概念を用いて解剖してみせてくれました。

講演冒頭に某有名ブランドのフェイク「バッタもん」が登場するようなユニークな内容と世界史を横断する豊富な画像…ユーモアを交えた語り口調に誘われてか、フロアからもさかんに笑い声が聞こえました。

2018.10.28 第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会においてパネル実施

2018(平成30)年10月26日(金)~28日(日)、国際日本文化研究センター及び京都リサーチパークにおいて、第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会が開催されました。

本大会の最終日、10月28日(日)、分科会5(11:15~12:45、セッションIA5)において、パネル「東アジアの内外を移動・伝播した日本関連資料の発掘と活用」を開催いたしました。これは、人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクト「日本関連在外資料調査研究・活用事業」の5プロジェクトが連携し、それぞれの活動の成果を対外的に発信するものです。

本パネルの司会・パネリストと発表タイトル、要旨は次の通りです。主導機関代表者である稲賀繁美先生はじめ、平戸班、ヨーロッパ班、バチカン班、北米班、研究成果活用班の5プロジェクト代表者がそれぞれの研究の意義と活動の成果を報告いたしました。

司会・趣旨説明:稲賀繁美(国際日本文化研究センター・教授)

 

発表者1

フレデリック・クレインス(国際日本文化研究センター・准教授)

タイトル:「江戸期のオランダ商館における情報管理―幕府の情報管理との比較を通じて」

要旨:17世紀における日欧交流史を研究する上で、オランダ商館関連文書は極めて重要な史料群である。本発表では、オランダ商館関連文書と同時代の日本側史料との比較を通じて、オランダ商館の情報管理の特色を解明する。

 

発表者2

日高薫(国立歴史民俗博物館・教授)

タイトル:「国際連携による在外資料調査とその活用」

要旨:国際連携による在外資料調査およびその活用(展示・教育)の実践について、日本国内で巡回展(「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展)と英国で開催した特別展(「KIZUNA:Japan Wales Design」展示)の例を中心に紹介し、その意義や可能性・課題について考える。

 

発表者3

シルヴィオ・ヴィータ(京都外国語大学・教授)

タイトル:「昭和戦前期における宣教師の歴史研究―マリオ・マレガ神父とその「分脈」」

要旨:マリオ・マレガ神父の研究成果には、キリシタン時代の歴史研究と日本文化研究の二つがある。それは時代の流れに答えたものであり、三つの文脈の中に位置づけることができる。まず一つは、バチカンとの繋がりにおいて、当時の布教論と関係するが、あとの二つは 日本国内におけるローカルなもので、大分地元社会の郷土研究及び昭和時代のキリシタン研究である。そのような文脈を背景してマレガの活動を問い直す。

 

発表者4

朝日祥之(国立国語研究所・准教授)

タイトル:「日系社会における言語生活の可視化―国内外の資料から」

要旨:本報告では、国内外に存在する日系(沖縄系)社会に関連する資料をその形態を横断的に活用することで見られる、日系社会の言語生活の可視化の試みについて報告する。具体的には帰米世代である比嘉太郎資料を取り上げ、比嘉氏をめぐる活動を紹介する。

 

発表者5

根川幸男(国際日本文化研究センター・機関研究員)

タイトル:「オランダ商館文書の伝播経路可視化の試み」

要旨:プロジェクト間連携による研究成果活用班では、4つのプロジェクト連携と資料活用の象徴的事業として、オランダ商館文書の伝播を例に「在外日本関係資料の伝播経路マップ」(仮称)の作成を試みつつある。同マップ作成を通じた在外日本関係資料の伝播経路可視化の可能性と問題について報告する。

以上のように、欧州や北米に眠る在外資料を共有・活用していく具体的な事例を紹介するとともに、東アジアを含めた在外資料が今後の国際的な「日本研究」の在り方を変えていく可能性の提示を試みました。ご来場の皆様、ご清聴、ご意見ありがとうございました!